《めてみみ》価格の既成概念

2021/09/15 06:24 更新


 上海でよく話題になるが、こちらで販売されている服の価格は意外に高い。ECモールで服を検索すると、低価格品が多数見つかるが、実店舗を巡ると、海外品は関税もあって高価だし、現地中国ブランドも想定より高い感じがする。今の日本の服の価格を知る人であるほど「上海で服を買う気にならない」という気持ちになる。

 買う側からすれば安いに越したことはないが、中国ではもはや単価が2000~3000円では「長い目で見て大手企業に勝てない」との認識が持たれているように思う。大衆スポーツブランドもデザイン性のある商品には高い値付けがされているし、有名だろうが新進だろうが、価格を通すため、クレーム・返品を出さないために、素材や縫製の質に異常なほどうるさくなっているという。

 中高価格帯が全て好調ではないが、「自分たちの商品価値と価格を値引いたりしない」姿勢は、むしろ好感を持って迎えられていて、「価格だけにうるさい日本企業より取引しやすい」との声も高まっている。

 今は世界的に原材料費、物流費、人件費、工賃も上がっているなかで、コスト上昇を中国企業は受け入れ、商品価格に転嫁している。日本にはいまだに「アジアは色々なものがまだ安いはず」という見方が強いが、価格の既成概念を見直すべき時が来ていると言えるだろう。



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