《めてみみ》賛否両論

2021/08/03 06:24 更新


 「賛否両論があることは理解しています。ですが、我々アスリートの姿を見て何か心が動く瞬間があれば本当に光栄に思います」。柔道男子73キロ級の大野将平選手が、東京大会で五輪2連覇を果たした決勝戦直後のインタビューでの発言だ。

 大野選手に限ったことではない。この1年、十分な練習も準備もできず、結果に満足できず、意気消沈していたとしても、参加選手たちは、この状況下での五輪開催についてコメントを求められる。

 緊急事態宣言下での開催に反対する人が多いことを前提に、インタビュアーはこの質問をぶつけているのだと思う。ただ、この日を目指して努力を重ねてきた選手たちに、冒頭の発言以上の何が言えるだろう。

 感染者数は増え続けている。バブル方式の問題点を指摘する報道やSNSの発信もあるが、試合は無観客で、飲食店も午後8時には閉まる。夏のセールは続いているが、日中の都心で買い物する人の数も例年の夏より少なく感じる。

 多くの小売業に我慢を強いておきながら、ワクチン接種は遅々として進まない。皆が納得できる対策を打てない国や自治体への国民の不満が、五輪への複雑な思いにつながっている。「大事な場面で理想を体現することは難しい」。心が動くどころが、失笑ものの発言や行動ばかりの政治家に大野選手のこの言葉を聞かせてやりたい。



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