《めてみみ》SDGsウォッシュ

2021/08/02 06:24 更新


 ホワイトウォッシュという英語は、漆喰(しっくい)で壁などを白く塗りつぶす様から、「表面を取り繕う」「うわべだけをごまかす」意味がある。エコロジーが欧米を中心にブームになった80年代、環境に良いと〝見せかける〟企業や活動は、環境をイメージする色に置き換えて、グリーンウォッシュ(ウォッシング)と呼ばれた。

 繊維・ファッション業界では今、環境負荷を低減した素材や製法の採用、サプライチェーン上の人権問題の有無の確認、ジェンダー平等実現など、持続可能な未来を目指す動きが活発だ。本紙でも、SDGs(持続可能な開発目標)やサステイナビリティー(持続可能性)といった言葉が載らない日はない。

 その中にウォッシュはないだろうか。意識の高い消費者や投資家、メディア、NPO(非営利組織)などが目を光らせている。

 一方で、「(SDGsの達成や環境問題に)着手はしたが、まだ完璧ではないから、記事にはしないで下さい」という企業にも出合う。ウォッシュと言われない完璧な対応をしたいという真面目な姿勢に好感を覚える半面、あまりにも慎重なのではないかと思う。目指すゴールを定めて動き出したのであれば、課題も含めて現在地と未来を語って欲しい。日本の美徳とする〝奥ゆかしさ〟ではグローバルな潮流に取り残されてしまう。



この記事に関連する記事