《めてみみ》外は広いぞ

2021/07/21 06:24 更新


 トヨタグループの創業者である豊田佐吉氏が上海に6年住んでいたことをご存じだろうか。明治中期から昭和初期にかけて日本の紡織業の発展に寄与した人物で、無停止杼(ひ)換式豊田自動織機(G型)の発明で有名である。

 紡織業を通じての日中親善を目指し中国に永住覚悟だったようだが、周囲は猛反対。「障子を開けてみよ、外は広いぞ」は、その説得の際に出た言葉という。1918年50歳を過ぎて上海に渡航し、20年に個人事業として上海・蘇州河沿いに紡績工場を設立。翌年豊田紡織廠へ株式会社化し、24年にG型織機を完成させたから、事業家・開発者としても脂の乗っていた時期か。27年に帰国したが、常に中国との「格別の親善関係」を目指し、中国事業後継者も日中の懸け橋として尽力した。

 以上は、工場跡地に復元されている上海豊田紡織廠記念館の野田博丈館長からうかがった話。野田さんも佐吉氏が6年上海にいたことは、赴任して初めて知ったという。

 記念館では彼の日中親善の思いやトヨタの原点が知れ、G型織機の細やかな開発秘話、紡織廠の関係人物も説明してくれる。十数人規模での研修も可能。記念館見学は予約が必要だが、上海には自社事業での親善を目指して日々奮闘する企業幹部・駐在員が多いので、100年前の日中友好精神にぜひ触れてほしい。


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