22年春夏欧州メンズコレクションが終了した。コロナ下で今回も大半がデジタル形式での発表となった。ミラノやパリではいくつかのブランドがフィジカル(リアル)のファッションショーを行った。
ミラノでは「ジョルジオ・アルマーニ」や「ドルチェ&ガッバーナ」、「エトロ」といった有力ブランドが観客を招いてショーを開催、復興しつつあるファッションイベントをアピールした。日本でも数ブランドがフィジカルのショーを行い、パリ・メンズの日程に合わせて配信した。
当然ながら、デジタルの映像をパソコンで見続けるのと、生のモデルが着る服を見るのとでは感じ方が異なる。感じられる情報が少なければ、書くことのできる報道の内容も乏しくなる。情報量を担保するため、ブランド側のプレスリリースを引用する。それも報道の質を落としているようで、いらだたしい。
コレクション報道はデザイナーと記者と読者との文通みたいなものだと思っている。デザイナーの見せた服を専門性を持った記者がどう感じたのか、それを読者にどう伝えるのか。デザイナーの意図をそのまま垂れ流すのではなく、あくまでもクリエイションと時代の間に立って俯瞰(ふかん)して報道することが求められる。ただデジタルの情報量ではそれもままならない。本格的なショーの再開が待ち遠しい。