経済産業省の若手キャリア官僚が、新型コロナの影響で業績が悪化したテナント事業者に支給される「家賃支援給付金」をだまし取ったとして逮捕された。官僚の不祥事が最近目立つが、自ら所属する省庁が所管する補助金や給付金を詐取するのは前代未聞だ。
「持続化給付金」を含め、新型コロナに関わる不正受給の事例が頻発したため、経産省は申請内容の検査体制を強化するなど対策を強化していた。
しかし、まさか内部から不正受給どころか、逮捕者が出るとは想定していなかっただろう。しかも、逮捕者の一人が所属した経済産業政策局産業組織課は企業のコーポレート・ガバナンスの指針作りなどを担当する部署。自らの「ガバナンス」ができていなかったことにあきれ果てる。
家賃支援給付金は20年度の第2次補正予算で2兆242億円を計上し、多くのファッションビジネス事業者が利用した。しかし、申請者数は当初の想定を大幅に下回り、総支給額は約8500億円にとどまった。理由は持続化給付金に比べて手続きが複雑で、途中で諦めた事業者が多かったためとみられる。この複雑な手続きを官僚がくぐり抜けた。
梶山弘志経産相は「極めて遺憾。今後の防止策を含めて厳正に対処する」と陳謝した。より強力な防止策を作り、しっかり説明しなければ、国民は納得しない。