《めてみみ》新常態でも、忘れない

2020/12/25 06:24 更新


 「当面は一進一退が続く」と、ある百貨店経営者。一度は回復基調にあった都心店の売上高、客数が再び低下中だ。新型コロナウイルス感染者数の動向によるもので、商戦の回復と悪化が今後も繰り返されるとの見方。消費の中身は、臨時休業明けの〝リベンジ消費〟から新常態に移行しているとも。

 家ナカ消費は代表例だ。ルームフレグランスなどのインテリア雑貨やキッチン用品、リラクシングウェアなどは引き続き好調。「過去10年で最高の売り上げ」という缶ビール、マスク着用でも映えるイヤカフほかの服飾雑貨の人気も、新常態消費だ。

 ECの広がりもその一つ。経済産業省が7月に発表した19年の日本国内のBtoC(企業対消費者取引)ECの市場規模は前年比約7.7%増の19.4兆円。物販系EC化率は約6.8%。右肩上がりできたが、さらに20年は伸びるだろう。〝スマホファースト〟の暮らしは根付いた。

 家ナカ消費の深掘りとEC強化は今後も欠かせないテーマだ。一方で、リアル店の価値向上とMDなどの変革も忘れてはいけない。クリスマス、正月に向かう商業施設に行くと、少し前より人出は多いようだ。新常態でも、ギフトや大事な買い物はリアルでということだろうか。緊急事態宣言下の暮らしは健康的とは言えないし、本来のビジネスや生活の姿は忘れたくない。



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