冬のテレワークでつらいのは足元の寒さ。今まで履いていなかったスリッパが欠かせなくなった。アウトドア用の裏起毛の分厚いソックスも手放せない。仕事場と化した子供部屋には加湿・空気清浄機能付きヒーターも勉強机の横に完備した。
少し前に、スリッパの産地である山形県のメーカーの間で欧州などへの輸出が増えていると聞いた。コロナ下でおうち時間を快適にできるアイテムに好機があるのは世界共通なのかもしれない。
宮内庁御用達の高級スリッパを作るサナックスの高橋直道代表は「これまでの職人人生を集大成して開発」したルームシューズが好評だという。子育て世代や高齢者、要介護者のために両手がふさがっていても脱ぎ履きしやすい靴の研究から開発した〝かかと〟の形状で特許を取得。そこに数十年の販売実績がある静電気防止・消臭・血流改善など高機能な中敷きの性能を付加した。この炭素繊維と銅繊維の剛体による特殊繊維は抗ウイルス対策に応用して革製インナーマスクまで開発するに至った。
コロナ下で既存ビジネスが窮地に立たされる一方、新生活様式によって今まで目立たなかった需要が掘り起こされ新たなマーケットが生まれる。ただし、安易な発想や技術では通用せず、近道もない。自社の強みを磨き続けた先にしか未来は切り開けないだろう。