《めてみみ》言い訳

2020/09/23 06:24 更新


 「増収なんだけど絶対に書かないで」。中小企業の経営者が、そう話す。新型コロナウイルスの感染予防で小売業が休業を余儀なくされた今年前半、懸命に新しい取引先や商品を開発し、前の期に比べ約10%増収できたのだが、「苦しんでいるお客さんがいるのに増収したなんて言えないでしょ」と気に病む。

 6月期決算を発表した商社の豊島。下期も善戦し営業利益、経常利益ともに過去最高を達成した。マスクや医療用ガウンの〝特需〟もあったが、OEM(相手先ブランドによる生産)の主力販売先であるSC系ブランドが休業を強いられるなか、営業を続けている業態に頻繁にアプローチするなどの努力で、製品部門は4%増収を果たした。

 歴史のあるアパレルの経営破綻や百貨店の相次ぐ閉店でファッション産業自体への風当たりが強い。その原因として「コロナ禍で」という説明にすぐに同意する業界関係者は少ないだろう。その前からの持病がこの機にとどめを刺したに過ぎない。

 「今月の目標が達成できなかったのはコロナのせい」「経営不振はコロナのせい」「営業がうまくいかないのはコロナのせい」と言い訳を重ねていては、この難局を乗り切ることはできないだろう。厳しいことだけれども「外部環境を言い訳にしない」体質を作ってきた企業は、コロナ禍に打ち勝っている。


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