《めてみみ》他社のサステイナビリティー

2019/12/03 06:24 更新


 専門店を取材していると、しばしば「他の店ってどんな感じですか?」と聞かれる。この「どんな感じ」はたいてい、同業他社の売れ行きとか品揃えの傾向を指すのだが、最近はサステイナビリティー(持続可能性)についてが多い。

 質問をしてくる専門店は国内の商売がメインのところがほとんどだ。ユニクロや無印良品のように、すでに海外に出ていて収益貢献度も高い企業からはそういう質問をされることはまずない。

 理由は明快だ。欧米で日本の企業が商売をする場合、商品の作り方、物流、働き方に至るまで、事業の全ての場面でサステイナビリティーを前提に据えていないと、現地の消費者に受け入れてもらえないから。

 世界の人口は30年に85億人に増える。特に中産階級が爆発的に増え、50億人に上ると目される。消費人口の拡大はファッション産業にとって追い風だが、急速な需要拡大で、計算上、地球2個分以上の資源が必要になる。今のままの仕組みでは需要に応えられないだけでなく、商売が続かない。

 国連気候行動サミットでのグレタ・トゥーンベリさんを引き合いに出すまでもなく、経済発展が環境に与える負荷を懸念する若い世代は増えている。これからの消費の中心を担うだろう人たちが選ぶファッションがサステイナブルであるべきなのは言うまでもない。



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