高いバッグが売れている。国内のコンテンポラリーブランドなどよりも、ラグジュアリーブランドのバッグを購入する客が増えている。ある都心百貨店のバッグ担当者が話していた。数万円の価格差であれば、ブランド価値の高い方を選ぶそうだ。
「最近は、若い人も価格を気にせず購入している」。今春夏、若い層を中心に衣料品の売り上げが好調に推移しているファッションビルで聞いた。セール月である7月も「プロパーで伸ばしている」と見ている。一方で、2点購入で割り引き、3点購入でさらに割り引く「2BUY」のようなサービスへの反応は鈍くなっているらしい。
セール期にセール品とプロパー品を併売するMDを組むブランドやショップが広がってきた。「欲しい物」であれぱプロパー商品を選ぶ消費者が年々増えているからだ。この二つの事象からうかがえるのは「価格よりも価値重視」の消費傾向の強まりだ。対象客層に合わせて供給側が設定した価格帯を超えて、比較購買しているようにも感じる。
こうした背景に、リサイクルショップやフリマアプリなど二次流通市場で、売ることを想定して物を購入するようになっているとの指摘もある。賞味期限の短さを前提にするのではなく、所有価値や資産価値が続くような物作りや販売手法が今の潮流なのかもしれない。