《めてみみ》外商のこれから

2019/07/30 06:24 更新


 百貨店の個人外商が転換点に入った。担当者が上顧客の自宅を訪問し、高額品を販売する従来の方法が通用しなくなりつつある。「若い世代のお客様を中心に、自宅に来てもらうことを敬遠する傾向が強い。応接間さえないお宅が増えている」(杉江俊彦三越伊勢丹社長)という。

 大手百貨店の売上高に占める外商の比率は2割を超える。ここ数年は2~3%の増収が続く。時計・宝飾品、美術品、特選衣料雑貨など高額品は中間価格帯の落ち込みと対照的に伸びが続く。今春のホテル催事は100万円以上の高額品が想定を上回る売れ行きだった。

 成長領域の外商を維持、拡大するには様々な顧客アプローチが必要になった。大丸松坂屋百貨店は富裕層向け自社サイトの顧客接点を生かし、ゴールドカスタマーデスクに今春から、ネット上でのチャット機能を付加した。外商顧客の一人ひとりに担当者を付けるのでなく、カスタマーデスクが窓口となって集団で対応する。

 これまでのフェイス・ツー・フェイスでない顧客との関係作りだ。モノだけでなく「金融や保険など将来への資産継承に対するアプローチが必要」(村田善郎高島屋社長)という。顧客の要望に合わせた外商の組織、働き方の改革が求められる。アナログだけでなく、デジタルを活用した新たなプラットフォーム作りが要る。



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