元三越伊勢丹ホールディングス社長の大西洋氏が社長を務める羽田未来総合研究所が事業説明会を開いた。日本空港ビルデングの100%子会社として18年7月2日に設立、1周年を機に、この間の取り組みと今後の方向性を語った。
羽田未来総研は年間利用旅客数8500万人に達する羽田空港の知財やネットワークなどのインフラを生かして新たなビジネスや価値を創造する役割がある。アート・カルチャー、コンサルティングなど事業は様々だが、特に注目するのが地方創生事業だ。
大西社長は百貨店時代から「このままでは日本の伝統や文化、技術が途絶えてしまう」という危機感が強かった。少数でありながらも技や風土を守り続ける作り手を支援し、ジャパンブランドの発掘、発信をライフワークにしてきた。ただ、生産者は良いものを作っていても販路や売り方、ブランディング、付加価値化のノウハウがない。
羽田未来総研はモノ、ヒト、カネのマッチングで、世界につなげるプラットフォーム作りをミッションに掲げる。空港の物販施設の活用、訪日外国人向けポータルサイトの運営、コンサルティングはその一つだ。大量生産、効率化、低価格から脱却し、「良いものを高く売る」というビジネスモデルによる消費の引き上げなしに、今後の日本の成長戦略は見いだせない。