地方の個店を取材すると、「仕入れているブランドのほとんどが、売れても追加フォローが利かないので売り逃すことが多い」と嘆く。そもそも展示会での発注数量が少ないのが原因ではある。ブランド側は「売れ残る在庫リスクは避けたいので、受注生産を基本」としている。今はモノがどんどん売れる時代ではないから、お互いに慎重になるのは無理もない。
メンズ分野に多いが、一部のファクトリーブランドやベーシックな定番品などはメーカー側のリスクで在庫を積み、追加投入するところもある。卸し先と情報共有などの連携を密にして負のスパイラルから抜け出し、売り上げを伸ばすブランドもある。
最近は新興ブランドでも、インスタグラムなどSNSを活用して消費者とつながれる時代。小売店への卸販売だけでなく、自社EC、大型商業施設での期間限定店、フェスやマルシェなどのイベントに出店するなど多様な販売手法が可能だ。特に、作り手の思いまでダイレクトに伝わるイベントでの物販に勢いがある。
逆風が吹き荒れる個店経営だが、元気な店もある。オーナーがほれ込んだブランドで「これだ」と思う商品にはタテ積みの発注をするなど、リスクを持って勝負している店は結果も出ている。これからはブランドとの信頼関係はもちろん、取り組みの深さが問われる。