《めてみみ》貿易摩擦のゆくえ

2019/05/22 06:24 更新


 米中の貿易摩擦が激しさを増してきた。米国が、昨秋に実施した第3弾の製品の税率を10%から25%に引き上げた直後に中国が600億ドルの製品の関税を引き上げた。さらに米国は第4弾のリストを公表した。このリストの中には、国民への影響が大きいとして除外されていた衣類、靴、携帯電話なども含まれていた。

 中国の18年衣類輸出額は9553億1396万元で、このうち米国は2123億2350万元、衣類輸出総額の21.1%を占めEU(欧州連合)に次ぐ2番目の規模となっている。米国側からみると衣類の40%、靴の70%が中国製と言われている。今回の措置が実施されれば米国の市民生活に与える影響は大きい。

 第3弾には繊維素材が含まれていた。影響は19年第1四半期に数字となって表れている。中国は株価の低迷もあり消費が減速していると言われている。国家統計局が4月に発表した社会消費品小売総額は前年同月比7.2%増、これは16年ぶりの最低水準更新だった。

 今のところ日系の素材メーカー、商社への影響は少なそう。ただ、今後の中国の景気については注視が必要としている企業が多い。鉱工業の付加価値を推定する一定規模以上の工業増加値は4月が5.4%増、前月を3.1ポイント下回った。数値の下落が一時的なものなのか、今後続くのか気になるところだ。



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