赤ちゃんの夜泣きに、若い両親が困り果てていた。抱っこする、オムツを替える、おっぱいを飲ませる――育児書に書いてあることは全て試したが止まらない。
ネットの書き込みを見て、換気扇の音を聞かせたり、レジ袋をクシャクシャにしたり、反町隆史の「POISON」を聴かせるが、ほとんどは効果がなく、あったとしても最初だけ。機嫌のツボは皆それぞれ。夜泣きを止める正解はなく、試行錯誤で得た経験が子育ての他の局面に生かされることが重要なのだろう。
売れる商品の見つけ方、顧客との関係性、クレーム対処、スタッフ育成法など、現場の悩みは尽きない。助言を求められても的確な解答は示せず、教科書に書かれてあるようなあやふやな回答しかできない。街や住民の特性、館や店の空気によって処方箋(せん)は異なる。売れない時代を勝ち抜くには、様々に試してみて、成功も失敗も繰り返して、一人ひとりが経験を積み重ねるほかはない。
あと4カ月で平成が終わる。平成後半の10年は、EC・デジタル対応、生産・物流対策など様々なソリューションが求められ、新しい企業が台頭し、乗り遅れた多くの企業が姿を消していった。ポスト平成はさらに激しい変化の時代が予想される。平成を生き抜いた企業にとって、30年の変化に何を学び、経験値を高めてきたかが問われる。