「52週MDはもはや崩壊した」。あるメンズセレクトショップのバイヤーがそう話す。今秋冬商戦は10月も11月も一向に気温が下がらす、冬物、とりわけオリジナルの防寒アウターがほぼ動かなかった。
一方、「縦売れ」という特定ブランドに人気が集中する傾向は強い。「ザ・ノース・フェイス」のダウンジャケットや「パタゴニア」のフリースジャケットは、人気モデルが予約で完売か、入荷日に長い行列ができて数時間で店頭から姿を消した。
縦売れが顕著になったのは季節進行の遅ればかりが理由ではない、とバイヤーは続ける。「ネットで検索すると、何が流行しているかも、人気ブランドがどこで買えるか、どのサイトが最安値かも簡単に分かる」
目当ての商品が売り切れていても「転売モノに強いECか、フリマアプリをまめにチェックしていれば、大抵見つかるし、お金に糸目を付けなければ買える」。一方、リアル店は「トルソーのコーディネートや目当て以外の商品の品揃えが邪魔でむしろ見にくい」
服好きは、欲しいモノをネットで探すのが当たり前になった。天候不順が続くと、この時期はこういう服が売れるという前年踏襲のオリジナルも通用しない。セレクトショップは縦売れするブランドや商品を消費者に先んじて見つけ、仕入れる力を改めて磨く必要がある。