《めてみみ》当たり前の社会へ

2018/09/06 06:24 更新


 「ベトナムの繊維企業では女性管理職は多いの?」。ベトナムで取材した際、若い女性幹部の活躍を見て質問したところ、けげんな顔をされた。「当たり前でしょ。縫製工場でスタートした会社は、従業員の大半が女性。そこから偉くなる人も女性が中心。日本はそうじゃないの?」と返され、日本の異常さを改めて意識した。繊維・アパレル業界の経営トップが集うパーティーでは、大半が男性なのを思い出したからだ。

 日本の就業者に占める女性の比率は4割強で、欧米と同水準。極端に低いのは13%(16年)という女性管理職比率だ。ここだけ見ると低いと感じないかもしれないが、欧米に限らず、東南アジアなどでも女性の管理職比率はおおむね3割を超え、日本と韓国が突出して低い。

 あるレディスSPA(製造小売業)の役員が「女性部長がやっと5人に増えたよ」とうれしそうに話す。ある商社で初めての女性取締役は、「私が頑張って(女性でも役員になれる)道を切り開き、広げないといけない」と覚悟を語っていた。

 ぜひ繊維・ファッション業界で女性幹部が増え、「ガラスの天井」を打ち破って欲しい。人材の採用、育成、登用には時間がかかり、すぐに結果は出ない。しかし着実に進め、「女性活用」とわざわざ言う必要がなく、女性が普通に活躍する社会になれば良い。



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