《めてみみ》メンズの展示会が早まる理由

2018/08/27 06:24 更新


 今夏、卸売りを主力とした国内メンズブランドで、展示会を約1カ月前倒ししているところが目立った。理由の一つに、海外の合同展に出展するブランドが増えたことがある。国内マーケットが縮小するなか、新興ブランドも海外市場の開拓に挑戦し始めている

 展示会前倒しの背景には、専門店の限られた仕入れ予算を少しでも早く確保したいというブランド側の焦りもあるのだろう。納期遅れの恐れがあるため、早期に国内工場の生産スペースを手当てする必要があるからだとも。専門店側も大手ECモールに押され、店頭売り上げの低迷が続く中でリスクを張った買い付けに踏み出せない状況だ

 逆にレディスアパレル卸は実需対応をさらに強め、8月の展示会で秋物のオーダーを受けるところも出てきている。メンズでも展示会を年2回から3、4回へ細分化したり、定番品の在庫をリスクして期中追加に対応したりと、専門店が仕入れや販売をしやすいように工夫を凝らしている

 展示会は作り手と売り手が真剣勝負する場であり「餅は餅屋」で、互いにリスクを持って役割を全うするのが理想のはず。だが、これからのリアル店は、本当にほれ込んだブランドの思いを販売員が熱量を持ってどれだけ伝えられるかにかかっている。そのためには、新たな共生関係の構築に踏み込むべきかもしれない。



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