《めてみみ》真正面で向き合う

2018/07/26 06:24 更新


 バーバリーが昨年、売れ残った商品約42億円分を焼却処分したとして批判を浴びている。ブランド価値を守るためと説明しても、環境保護の観点などからなかなか納得してもらえない世の中になってきた。

 日本国内でも「大量生産、大量消費の時代は終わった」と言われるようになり、消費の縮小に合わせて衣料品の供給が是正されるかと思ったが、単純ではない。衣料品の国内供給量は13年が41億点超、15年には36.7億点にまでいったんは減ったが、それを底に16年は37.2億点、17年37.9億点と再び増えた。供給過剰はわかっていても、企業は落ち込んだ売り上げ、利益を伸ばすのが至上命題だからだ。もちろん以前のような売り上げ追求ではなく、利益が重視されるが、競合が激しいだけに引くに引けない状況だ。

 リー&フォングループのコバルト・ファッションが島精機製作所と一緒に進めようという試みは、デジタル技術でサンプルレスを実現してサンプル製作に費やす労力や時間を最小化したり、オーバープロダクトを是正する取り組みの一つ。

 何が無駄で何が欠かせないか。企業により価値判断は異なるだろう。しかし過剰在庫、供給過多が社会問題になってきた今だからこそ、この課題に真正面から取り組むべきだ。それが利益の源泉となり、企業価値を高めることにもつながる。



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