《めてみみ》個性の最大化

2018/07/12 06:24 更新


 夏のセールが本格化している。首都圏のSCは6月下旬、7月の上・下旬と分散化し、京阪神地区では6月末開始が多く終盤を迎える。

 「日本ってなぜ売れない商品を店に並べるんですかね」と香港のアパレル企業の社長が不思議がる。夏のセール中に秋冬物を並べたり、真冬に春物を販売するMDが理解できないという。

 「季節の先取り感の大切さ」「いち早くトレンドを取り入れたい層に向けた必要な施策」と説明しても納得しない。彼の会社は日本企業のアパレルODM(相手先ブランドによる設計・生産)を手掛け、シーズンの立ち上がり商品の売れ行きが年々悪化しているデータを持っているからだ。だからこそ「季節に応じた商品構成が大事。日本でも旧暦を基にしたMDを組むべき」と持論を展開する。

 その場にいたファッションブランドの担当者も1月の冬セール直後に春物の靴を並べたが「全く売れなかった」と嘆いた。ではなぜ並べるのか。セール後に春物や秋物の新作を一斉に打ち出し、シーズン性を演出したいと百貨店やSCから求められるからだ。

 「実需でないと売れない」と言われて久しい。売れていた時は横並びで良かったが、売れない時は各店が最善を尽くすべきで、その自由を妨げてはいけない。様々な店が出店するメリットは、各店の個性が生きた時に最大化する。



この記事に関連する記事