「梅雨入り宣言」とほぼ同時に、会員登録しているアパレル企業のECサイトから夏のセール開始のメールが届いた。夏本番は梅雨明けからなのに、ECでのセールは相変わらず早い。
大型商業施設の今夏のセール開始日は6月最終金曜日と7月第1週の金曜日が大半。早い施設は今月22日前後。大型商業施設で最も遅いと見られるルミネが昨年とほぼ同時期の7月27日に開始するため、首都圏ではセール時期が分散し、長期化する。ECを含めれば、業界では約2カ月間セールが続くことになる。
「欲しい」と思った商品が普段よりも割安で買えるセールは消費者にとってありがたい。しかし、セールで販売する商品は基本的には売れ残り品だから、消費者が欲しい商品は豊富ではない。「消費者はセール品であっても商品をより吟味して買う」「プロパー期に売れない商品はセールでも売れない」傾向は強まっている。
プレセールも広がり、消費者にとってセールの「ありがたみ」は薄れた。セールが盛り上がる時期も年々短くなっている。セールの長期化を多くの消費者が支持しているとは言えない。
にもかかわらず、一部を除いて業界の姿勢が変わらないのは疑問だ。浸透した時期を変えるのは勇気がいるが、業界の信頼のためにも、セールの適正な時期を業界全体で再考すべきだ。