NHKの連続テレビ小説「半分、青い。」の舞台となったこともあり、岐阜県美濃地方が取り上げられることが増えた。名物や観光スポットが紹介され、地域への関心が高まっている。ただ現地の駅前を歩いても、特に通行量が増えているようには見えない。商店で聞いても、「うちは関係ないね。五平餅は売れているようだけど」と、返ってきた。確かに、道の駅や高速道路のサービスエリアでは五平餅が〝爆売れ〟している。
ご飯を練り、甘辛いみそだれを塗って香ばしく焼き上げた五平餅は、岐阜県や長野、富山などに伝わる郷土料理。五平餅にみそ汁をつけて定食として出す店もあるほど、地域の人たちにとっては身近な食べ物だ。一昨年のアニメ映画「君の名は。」で登場人物が食べるシーンがあり、「半分、青い。」でも、ヒロインの人生を決定付ける重要な役割を果たした。映画やドラマで興味を持ち、多くの人が食べに訪れた。
あまりに身近すぎて、その良さに気付かないことがよくある。外の人たちに指摘され、すごさを認識する。きものも、そうかもしれない。京都を歩くと、和服姿の女性の多くは訪日外国人。きものの良さは分かっていたつもりだが、改めてそのすごさを実感している。
交流することが隠れた価値を発掘する。体験を呼び込むことが地域の資源価値を顕在化する。