《めてみみ》共生の時代へ

2018/05/21 04:01 更新


 名古屋・栄の松坂屋名古屋店、名古屋三越栄店、名古屋パルコの3店の4月売り上げが揃って前年同月を上回った。昨年4月に名古屋・名駅地区にタカシマヤ・ゲートタワーモールが開業して以来、栄の商業施設は落ち込みが続き、月によっては松坂屋や三越が前年を上回ることはあったが、3店とも売り上げが伸びたのはこの4月が初めて。押され気味だった栄の回復を象徴している。

 00年にJR名古屋高島屋が開業するまで、栄と名駅の商業集積の比率は「7対3」とも言われ、栄の1強時代が続いた。その後、主要鉄道の駅が集中する圧倒的なトラフィックを背景に、名駅地区の大型開発が進み、栄との差はなくなった。今や勢力は伯仲している。

 一昨年、栄の商業施設などが連携して、「サカエゴーランド」を始めた。美術館や文化・教育施設などとともに、街歩きの楽しさを訴えている。資本やグループの枠を超え、栄の商業施設が連携することは、1強時代には考えられなかったことだ。地域の連帯が生まれつつある。

 閉店する丸栄跡地の再開発や、中日ビルの建て替え、新しい大型施設の出店など、今後は栄の大型案件が続く。それぞれが独自性を追求し、既存施設との共存を目指す。もはや、規模や集積を争う時代ではなくなった。しなやかな共生関係がエリアの活力につながる。




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