ECに関する取材が増えるなか、知らない用語が増えてきた。専門家には当たり前だろうが、英字やカタカナ交じりの言葉が出るたびに取材が止まる。頭を下げて教えてもらうと瞬間的に理解した気になるが、記事を書く段になると今一つ分かっていないこともしばしば。再度、担当者に電話で説明してもらうこともある。
50歳を超えた同年代の記者に、新しく覚えた言葉を解説風に説明する。ところが、翌週の取材先では「それはもう一時代前の手法ですよね」などと言われてしまうことも。がくぜんとしながらも、ネット販売における日進月歩のスピードに驚くばかりだ。
こうしたEC関連企業のオフィスをのぞくと、雰囲気の良いところが多い。特にチームで和気あいあいと話し込む姿をよく目にする。成長が士気の高さを生むのか、元気だから業績が上がるのか。多分その両方であろう。
過去は、大手の販売先を一気に開拓したり、キーマンに食い込んで売上高を大きく増やしたりする人材が評価を得て、幹部社員になっていった。これに対しネット販売のお客さんは基本的に1人。個々人に対する真面目な応対の積み重ねが明暗を分ける。スタープレーヤーの存在よりも、個々の社員の力量やチームワークがカギを握る。ECの台頭は日本企業の風土さえも大きく変えていくのだろう。