〝オワコン〟と言われていた百貨店で過去最高の業績が相次いだ。特に三越伊勢丹ホールディングス(HD)は24年度の国内百貨店事業が総額売上高1兆1433億円、営業利益が655億円、コロナ禍前の18年度に対し総額売上高が19%増、営業利益が2.8倍に達した。
「百貨店の未来は明るいし、もっと成長できる」(細谷敏幸三越伊勢丹HD社長)との言葉を裏付けるように前中計の百貨店再生フェーズを完了した。高感度上質、顧客とつながるCRM(顧客情報管理)の独自戦略が進展する一方、構造改革で売上高損益分岐点比率が大幅に低下した。
全社レベルで経費管理を徹底、従来発想を変えた。多く購入した客にはどれだけ経費を掛けても問われない慣行を否定し、顧客グループごとに費用対効果を見える化。1人の買い上げ額と経費のかけ方を数値化し、どれだけもうけが出ているかを明確にした。
赤字だったオンライン事業は食品や化粧品など特化型による個のマーケティング強化で黒字化。海外は従来のフルライン型百貨店から不動産との複合開発型モデルへ転換した。百貨店を中核にしながら、不動産、金融、情報システムなどインフラ、飲食などグループならではの提供価値を組み合わせ、「館業(マス向けモデル)から、連邦とまち化を手段に〝個客業〟への変革と進化を目指す」(細谷社長)。