《めてみみ》横並びのVMD

2017/12/15 04:00 更新


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 「店頭ディスプレーの近くに、提案商品が集積されていない」「商品と比較してプライスカードが大きい」――VMDなどを長年指導してきた方と百貨店の売り場を回り、様々な指摘に同意する点が多々あった。ディスプレーの本来の目的は「売ること」なのに、目的を理解していないケースが多いという。

 〝盛りすぎ〟の店頭ディスプレーでは何を提案したいのか不明瞭。正価販売期なら、価格よりも商品そのものの良さをやはり訴求すべき。さらに、各ブランドの差異化への意識が薄い。フロアを俯瞰(ふかん)すると、同じようなディスプレーが並ぶ。色合いも同じで各ブランドの提案が埋没している。近隣ブランドの状況を加味できない本部指導のディスプレーのためだろうか。ブランドの同質化とは、MDやVMDの同質化でもあるようだ。

 嗜好(しこう)の多様化や購買行動の複雑化が指摘されるなか、似たような〝マスMD〟の考え方では、新規客の獲得を含め客層の幅を広げることは難しい。誰に、何を提案すべきか。MDを深掘りしての組み立てが求められる。

 冬はコートで稼ぐというだけでは足りない。対象客層が服を着るシーンは多様にあり、シーン提案で着実に売り上げを伸ばしている百貨店もある。実店舗の活性化を重点に掲げる企業は少なくなったが、やるべきことは結構残されている。



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