《めてみみ》紡績100年の碑

2017/10/12 04:00 更新


画像はイメージです(Osugi / Shutterstock.com)

 来年は明治維新から150年。全国各地で様々な催しが予定されている。維新の一方の立役者である薩摩藩、今の鹿児島県も大いに盛り上がる。次のNHK大河ドラマが西郷隆盛を主役にした「西郷どん」となることもあって、鹿児島市の観光交通局などはホームページで150年をカウントダウンするほどの力の入れようだ。

 鹿児島市の観光地の一つが、薩摩藩主の庭園だった仙巖園と隣接する尚古集成館。後者は幕末の藩主だった島津斉彬が産業育成や富国強兵を進めるために作った工場群が元になっている。当時の工業先進国の代表産業の一つが紡績業であり、尚古集成館には日本初の薩摩藩鹿児島紡績所も作られた。

 現在、尚古集成館内には往時の紡績設備をしのばせるものはわずかしかないが、入り口近くに日本紡績協会が紡績業100周年を記念して建てた小ぶりの石碑が立つ。67年の建立だから、石碑自体も今年で満50歳を迎えたことになる。建立式典には、日本繊維産業連盟初代会長、東洋紡社長を務めた実業家、谷口豊三郎紡績協会会長が参加するなど盛大なものだったようだ。

 石碑の下には当時の紡績業の諸資料を入れたタイムカプセルが埋められ、100年後の2067年に発掘する予定になっている。さて50年後、国内の紡績業、繊維産業はどうなっているだろうか。



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