クラレが小学6年生の女子に聞いた「将来就きたい職業調査」で、デザイナーがトップ10圏外に落ちてしまった。15年度は5位、昨年度は6位だった。
服飾系専門学校はここ数年、外国人留学生の受け入れや周辺学科の新設などで入学者の減少を食い止めてきた。しかし今4月の入学者数は減少に転じた模様。ファッションビジネス業界への就職を希望する学生も減り、来春新卒者の採用状況は「学生の集まりが量・質ともに厳しい」と多くの企業が嘆く。
子供たちの憧れの職業から外れ、ファッション業界を目指す学生が減り、実際に就職を希望する人材も減る厳しさだ。ビジネスを継続する基盤が揺らぎ始めている。
一方で三井物産アイ・ファッションは国内デザイナーのインキュベーション事業を本格化し、伊藤忠ファッションシステムは日本の有力デザイナーとアパレル企業との協業をコーディネートするプロジェクトを立ち上げた。ワールドは日本投資銀行と共同でファッション産業を投資対象にしたファンドを設立、運用を始めた。
ファッション業界は転換点にある。プレイヤーが変わりつつあり、そこにはピンチとチャンスが入り交じる。圧倒的に中小企業が多く参入しやすい業界。支援する動きもあるだけに、この閉塞(へいそく)感を打ち破る人材や企業がどっと出てくることに期待したい。