小学校2年生の息子に毎日、宿題をさせるのは容易ではない。下校すると遊びに行ったり、テレビを見たり、おやつを食べたり、誘惑に負けてなかなか宿題にとりかからない。怒って無理にやらせても身に着かないだろう。どうしたら自主的に取り組んでもらえるか、いつも頭を悩ませる。
単純に子育てと一緒にはできないが、企業の人材育成とも共通項はありそうだ。モノが簡単に売れない厳しい時代を迎えたファッション業界にとって現場の販売員のモチベーション向上は大きな課題。その課題を解決するには経営者が社員とどう向き合うかにかかっている。
あるアパレルメーカーの若手社長は、就任後1年をかけて150人以上の社員全員と面談した。会社の方針を直接伝えたいとの思いが強かったとのことだが、実際は現場から教わることがほとんどで、通常の会議では出てこない本音も聞け、「課題解決の答えは現場にある」と実感したという。さらに、その社長は販売スタッフが会社の主人公という信念から「父の日」商戦の週末には接客のため店頭に立ち続ける。
まず、現場の話をじっくり聞き、同じ目線で一緒に汗を流すことが大事なのだろう。上から命令し、尻をたたくだけでは人の心は動かない。地道な経験を積み重ねることで社員の意識も会社も変わっていくはず。幼い子供でも親の背中を見て育つのだから。