《めてみみ》空白地帯の小型店

2017/05/30 04:00 更新


 百貨店のサテライト型小型店が曲がり角にある。郊外SCなどに出すチャネル戦略で、既存、新規の顧客接点を拡大してきた。しかし、売り上げが伸び悩み、赤字を強いられる店舗が相次いだ。高収益事業への転換が避けられない。

 三越伊勢丹は「エムアイプラザ」の新規出店を凍結、「これまでの拡大路線を転換、事業モデルの再構築を優先する」という。小型店事業は小商圏に対応し、従来の中元・歳暮などギフト中心から、雑貨と食品など日常使いできる物へ品揃えを見直した。「百貨店のやるコンビニ」として100店超に拡大した。

 そごう・西武は「西武・そごう武蔵小杉ショップ」を8月末で閉鎖する。百貨店と同水準の衣料品、雑貨、化粧品を扱っていたが、14年11月のオープン以降、売り上げの低迷が続いていた。一部を残して大幅縮小する。京王百貨店は拡大策を継続するが、15年4月に出店した「ららぽーと富士見店」を7月15日に閉店する。

 百貨店の空白地帯に出す小型店戦略は、新たな成長事業に変わりはない。強みの商品領域を切り出し、再編集することは今後も有望な市場だ。ただ、百貨店との相互送客など相乗効果の発揮や新規の顧客化、来店頻度を高める品揃え、販促ができていない店がほとんどだった。顧客対象や地域に応じたMD、ローコスト運営など課題が残る。



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