綿花栽培国内各地で広がる 地域活性化、教育にも

2018/01/09 04:27 更新


 綿花栽培の動きが日本各地で広がっている。17年11月に開かれた全国コットンサミットイン加古川には約30の企業や団体、学校などが参加した。休耕田やシルバー人材の活用だけでなく、地域の歴史や産業を見つめ直す教育としての側面も期待されている。

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 09年ごろから栽培に取り組んでいる奈良県広陵町にあるタビオ奈良は、現在8ヘクタールの土地で超長綿を中心に綿花を栽培。1ヘクタール当たり約100キロの収穫が見込まれ、製品の草木染めにも挑戦し、18年春夏から店頭で本格販売を始める予定。

 兵庫県姫路市でも、姫路木綿復活プロジェクトとして15年ごろから和綿の栽培をスタート。約1反の休耕田を利用し、地元農家や大学などの協力を得て栽培。手紡ぎ、手織り、天然藍染めなど、昔ながらの物作りで江戸時代に盛んだった「姫路木綿」を復活させようとしている。

 昨年、サミットが開かれた兵庫県加古川市でも無農薬綿花の栽培や靴下作りに取り組む「かこっとん」プロジェクトが進展。今季の綿花栽培は1.6ヘクタールで、地場産業の靴下だけでなく、カットソーなど各種製品作りにも取り組む。

 こうした動きに呼応するような形で、加古川市にあるオークラ工業は新たに綿花からわたと種を分離するジニング機を開発した。ジニング機は日本で生産しているメーカーは既に無く、アジア圏から中古の機械を取り寄せるのが一般的。今回開発したジニング機は1時間に7キロの綿花から種を取り除くことができ、繊維長の短い和綿などにも対応する。

 そのほか次回のコットンサミットが開かれる福島県いわき市や鳥取県境港市、大阪府の岸和田市や阪南市などでも綿花栽培が行われており、地域活性化に向け官民一体となった取り組みが進む。

 また、教育の場面でも綿花栽培が活用されるケースも増えてきた。畿央大学では村田浩子准教授のゼミで、綿花栽培から始める洋服作りに取り組んでおり、昨年のコットンサミットで発表された。奈良県立五條高校も綿部として綿花栽培から雑貨作りまで取り組んでおり、インドの綿農家などとも交流し、ファッション産業が抱える問題などを考えるきっかけにもなっている。

製品バリエーションも豊富になってきた(鳥取県境港市の「伯州綿」)



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