松井製靴、セミオーダー事業を開始 非日常空間の店舗で価値を上げる

2023/11/10 06:25 更新


非日常性を感じてもらうための椅子

 婦人革靴メーカー、松井製靴は、大阪市西成区の本社近くに自社ブランドのセミオーダー店「マイチョイス」を作った。今後、1日1組限定で予約を受ける。新事業で付加価値を高め、正社員を増やす狙い。

 創業以来、OEM(相手先ブランドによる生産)を中心として、縫製以外は内製化している。技術力を知ってもらうには自社ブランドが必要と判断した。ただブランドを立ち上げるだけでは認知が広がらないとして、こだわりの詰まった体験型セミオーダー店を開くことにした。

 靴はハイカットスニーカー、ローファー、ウェッジソールのパンプス、ショートブーツなど約10種類を事前に選んでもらい、来店日を決める。店内で試し履きしてサイズを確認、様々な革から好きな物を選んでもらう。価格は2万~3万円と抑える。ブランド名は「MMATSUI(エムマツイ)1977」。

 建物はパンプスのヒールをモチーフにした独特なデザインにした。店内には足や靴の形をした流木を飾るなど、非日常的な空間とする。ゴージャスな椅子は「シンデレラの気分を味わってもらうため」(松井成和社長)に置いた。

靴のヒールをモチーフにした店舗

 しかし、「こんな不便な場所にだれが来るのか」「発信する力がない」など、社内は反対意見ばかりだったと松井社長は話す。それでも、企業として一歩踏み出すには「やるしかない」と決めた。11月4、5日には一般向けにオープンファクトリーを実施し、新店も見てもらった。

 ブランド認知度を上げ、付加価値の高い事業にすることで、正社員を雇い安定した企業運営を目指す。



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