婦人革靴メーカー、松井製靴は、大阪市西成区の本社近くに自社ブランドのセミオーダー店「マイチョイス」を作った。今後、1日1組限定で予約を受ける。新事業で付加価値を高め、正社員を増やす狙い。
創業以来、OEM(相手先ブランドによる生産)を中心として、縫製以外は内製化している。技術力を知ってもらうには自社ブランドが必要と判断した。ただブランドを立ち上げるだけでは認知が広がらないとして、こだわりの詰まった体験型セミオーダー店を開くことにした。
靴はハイカットスニーカー、ローファー、ウェッジソールのパンプス、ショートブーツなど約10種類を事前に選んでもらい、来店日を決める。店内で試し履きしてサイズを確認、様々な革から好きな物を選んでもらう。価格は2万~3万円と抑える。ブランド名は「MMATSUI(エムマツイ)1977」。
建物はパンプスのヒールをモチーフにした独特なデザインにした。店内には足や靴の形をした流木を飾るなど、非日常的な空間とする。ゴージャスな椅子は「シンデレラの気分を味わってもらうため」(松井成和社長)に置いた。

しかし、「こんな不便な場所にだれが来るのか」「発信する力がない」など、社内は反対意見ばかりだったと松井社長は話す。それでも、企業として一歩踏み出すには「やるしかない」と決めた。11月4、5日には一般向けにオープンファクトリーを実施し、新店も見てもらった。
ブランド認知度を上げ、付加価値の高い事業にすることで、正社員を雇い安定した企業運営を目指す。