マッシュホールディングスの19年8月期決算は、売上高787億円で前期比11.8%増の2ケタ増収となった。「ミラオーウェン」「フレイアイディー」「セルフォード」などのファッション事業や、ビューティー事業の好調により国内営業利益は16.3%増。一方、海外事業が現地の市況低迷もあり低調だったため、全社の営業利益は55億円(0.4%増)の微増益にとどまった。営業利益率は0.5ポイント低下の7%。
(石井久美子)
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期末店舗数は、国内400(純増53)、海外173(純減9)の573。ファッションのマッシュスタイルラボは10%増収。ブランドの国内実績でみると、ミラオーウェン23.3%増、フレイアイディー18.6%増、新規出店が多かったセルフォード313.6%増などが貢献した。「スナイデル」5.8%増、「ジェラートピケ」は0.3%増、「リリーブラウン」横ばい。規模は小さいが「ファーファー」「スタイリング/」は2ケタ増。スナイデルは前年に苦戦したが、18年秋のリブランディング以降は回復しつつあり、ファッション好きの客層がより増えた。ジェラートピケは出店が一巡しリニューアルに注力した。
ウェルネスで成果
ビューティー事業のマッシュビューティーラボは34.9%の大幅増収。同社の強みであるナチュラルやオーガニックのコスメへのニーズが高まっている。特に成長したのが「セルヴォーク」と、「トーン」を軸とするセレクト業態「メイクアップキッチン」で、新規出店に加えてそれぞれの既存店も2倍以上伸ばした。既存の「コスメキッチン」「ビープル・バイ・コスメキッチン」も既存店2ケタ増収。ビューティー事業は利益率が課題だったが、オリジナルブランドのセルヴォークとトーンのヒットで大きく改善が進んだ。
マッシュスポーツラボは44.4%増。デイリーウェアやセレクトのスニーカーが好調な「エミ」が35.4%増、出店も多かった「スニーカーズ・バイ・エミ」が63%増。特にエミは、グループのアパレルブランドの中で国内既存店売上高が伸び率トップの14.5%増。「ビューティーやウェルネスは、我々のクリエイションと時代のニーズが合ってきたと感じている」と近藤広幸社長は話す。
EC事業は26%増収。うち、ファッションが23%増、ビューティーが109%増となった。ECのシステム運営会社やブランド別の直営サイトの立ち上げもあった。この影響もあってか社内外のブランドを扱うウサギオンラインの伸び率は鈍化したものの、全社的にはEC化率は18%(前期は16%)に高まった。
海外事業は、中国本土、台湾の経済情勢の停滞は一定織り込み済みだったが、加えて香港のデモの影響があった。
中国は改善を急ぐ
20年8月期は、売上高830億円、営業利益率7.6%を目標とする。投資の重点はビューティー事業とEC事業だ。ビューティーは、セルヴォークやメイクアップキッチンの新規出店、新ブランドの開発、商品の研究費、ビープルフェスなどのイベントに力を入れる。ECでの販売もさらに伸ばす。
ECは、ブランドの直営サイト、ウサギオンラインそれぞれに成長戦略を進め、社内のインフラ強化やスタッフ増員にも取り組む。この間準備してきた基幹システムも入れ替えが完了する予定だ。今月上旬には、同社を含む3社が出資する新EC「スタイルヴォイスドットコム」もスタートする。
スナイデルやミラオーウェンの海外戦略もカギとなる。「海外、特に中国本土は本気でテコ入れしないといけない。中国のファンに喜んでもらえるイベントや協業にも取り組みたい」と、改善を急ぐ。
主力ブランドのジェラートピケはこの間順調に規模を拡大するなかで、進化のスピードがゆるやかになっていたと分析する。素材開発や協業企画など「初心に戻り、再び2ケタ成長を目指したい」考えだ。