《データ活用でLTV経営になるために②》オムニチャネルとは何か? (1)仕組み・構造

2025/10/07 13:00 更新NEW!


 よく聞かれるのがオムニチャネル化するって何をどうしたら良いの? という質問です。今回は定義だけではなく、少し踏み込んだ形でお話します。

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 自社が店舗/カタログ通販/ECいずれかしか販売チャネルを持たない〝シングル〟から、自社が複数の販売チャネルを持つ〝マルチ〟へ成長し、いずれかの販売チャネルで注文されたものが別の販売チャネル(通販/ECは宅配)で受け取れる、つまりチャネル間を商品が〝クロス〟する形になっていきます。実は、この〝クロスチャネル〟を〝オムニチャネル〟と呼ぶことが多いと感じています。では、どうなったら〝オムニチャネル〟と言えるのでしょうか。

顧客と双方向でつながる

 ポイントは顧客とのつながりです。〝クロス〟の状態では受注番号や伝票番号で商品を管理し、指定された受取店舗や宅配住所に送ります。その際にはお客様の情報はデータの一部となっていて、ひもづけるためのキーにはなっていません。つまり、お客様の持つ会員カードやECの顧客IDをアプリで提示して店頭で受け取れる仕組みになっていないことが多いのです。その結果、お客様の購入情報は注文したチャネルごとの集計になってしまい、企業とお客様のつながりをトータルで見ることが出来なくなってしまいます。

 具体的にはどうすれば良いのでしょうか。例えば店舗で買っても、ECや通販で買っても、その顧客IDにひもづけて購入履歴としてまとめ、その情報に基づいたお勧めをメールやアプリ、店頭で行えるようにします。一方でお客様が商品を探している時には店頭でもECや通販でも同じ商品情報が掲載されていて、さらにそれぞれの在庫情報が〝〇:あり △:少ない ×:無し〟とわかれば、どこで買えるのかがわかります。また品切れでも再入荷予定がある場合には〝予約可〟とすればさらに顧客満足度は上がり、届くまでの期待感はブランドへの強い支持となるでしょう。

システム部ではなく現場主導

 こうした話をすると、これは情報システム部の仕事ですね、と言われることが多いのですが、それこそがDX(デジタルトランスフォーメーション)化やオムニチャネル化の失敗の一番大きな原因です。ITの仕組みを作るのは情シスですが、その仕組みを使って利益を上げるのは営業・販売です。だから仕組みの設計や活用方法を主導するのは営業・販売の現場なのです。その時に自分たちの都合ではなく、お客様の立場に立って考えることが出来れば、最初は小さな課題を抱えながらも、必ずお客様にとっても、働く人にとっても理想のオムニチャネルが構築できるはずです。

(日本オムニチャネル協会理事・逸見光次郎)

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