ロエベファンデーションは、優れた職人を対象にしたアワード「ロエベ・クラフト・プライズ2017」のファイナリスト26人の作品を揃えた巡回展ロエベ「インターナショナル・クラフト・プライズ」を、東京ミッドタウン内の21_21デザインサイトのギャラリー3で開催している。30日まで。スペイン、ニューヨークに続き、アジアでは初の展示になる。
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ロエベ・クラフト・プライズは、ロエベファンデーションが創造性や芸術性、革新性の高い職人の発掘を目的に16年にスタートした取り組み。「工芸技法の斬新な適用と芸術性あふれるオリジナルコンセプトを組み合わせること」を応募資格に、18歳以上の世界の作家から作品を募った。
作品は陶芸、エナメル装飾、宝飾、金属、家具、テキスタイル、ガラス工芸など応用美術に属するものが対象。1回目となる今回は、ドイツ出身のエルンスト・ガンペール氏の倒木を使ったオブジェ「Tree of Life 2」が大賞に選ばれた。

受賞作は根元から折れてしまった樹齢300年のオークを切り出し、フィリグリー(金銀線細工)の平行溝を慎重に彫って自然なフォルムのオブジェに仕上げた。倒れた木のストーリーを永遠のものにしたといい、「美しさだけでなく、リサイクルの価値など社会との接点を探るアプローチが素晴らしかった」と評価された。
そのほか、白地に白糸で細かくステッチを施したキルトや、動植物が描かれた巨大なタペストリー、小麦の繊維の撚糸を織りあげた巨大な円形オブジェなど、手仕事の技を駆使したアート作品が揃った。多く作品に、作家自身の国の文化や技術が色濃く反映されている。
審査員は、「ロエベ」のクリエイティブディレクター、ジョナサン・アンダーソンをはじめデザインや建築、ジャーナリズムといった分野から参加した。第2回ロエベ・クラフト・プライズの応募は6月にスタートしており、受賞者は18年にパリで発表される。

