ベルリン・ファッションウィーク現地レポートとして最後にお届けしたいのが、”Der Berliner Salon”主催のもと開催されたグループエキシビジョンである。
ドイツ国内の厳選されたラグジュアリーブランドが集結した同エキシビジョンの会場となったのは、前回お届けしたODEEHのプレゼンテーション会場とも程近い「Kronprinzenpalais(Crown Prince’s Palace)」。1969年に再建されたが何百年も続く歴史的建築であり、存在感を放つ円柱と重厚感ある豪華なインテリアが素晴らしかった。
美しい庭園も含む全館を借り切って贅沢に行われた同エキシビジョンは、エレガントなドレスからゴージャスなジュエリーやバッグなど見ているだけで優雅な気分にさせてくれるハイクラスのものばかりだった。その中でも注目のブランドを写真とともに紹介したい。
まずは今回の目玉となったのが、ディズニーとのコラボレーションアイテムである。ミッキー・マウス誕生90周年記念として世界的ブランドが参加したこのスペシャル企画にドイツからは、ODEEH, Rianna + Nina, Strenesse、William Fanの4つのブランドが参加となった。
ビビッドな赤ストライプの上にグラフィックで型取られたミッキーの顔がいっぱいプリントされたシャツとネオンピンクのマキシスカートというサイケデリックなアートのようなコンビネーションで一際目立っていたのがODEEH。
個人的には香港をルーツに持つWilliam Fanの品のあるユニセックスデザインが好みだった。同ブランドは、アレキサンダー・マックイーンのもとで修業を積んだ後2015年にベルリンファッションウィークでデビューし、翌年にはVOGUE Salon Germanyの一員に選ばれるという実績を持っており、今後の飛躍が期待される若手デザイナーの1人。残念ながらファッションウィーク前には知らなかったためランウェイショーは見逃してしまったが、次回は是非とも観て見たい。
続いて、最も今の気分にぴったりだったバッグブランドのPB0110を紹介したい。デザイナーのPhilipp BreeはファミリービジネスであるBREEから独立し、2013年に自身のブランドPB0110のファーストコレクションを発表。
同エキシビジョンでは、やや霧がかったような淡いピンクやオレンジのパイピングがかわいらしいナチュナルレザーバッグシリーズと、シチリアの観光名所"Scala dei Turchi”などの写真が全面にプリントされたポリエステルシルクのトートバッグシリーズが展示されていた。繊細で上品な生地にプリントされたアートな写真と持ち手の色合いとが絶妙なバランスでどれも美しかった。
ゴージャスなカクテルドレスから大胆なプリントが印象的だったTALBOT RUNHOFやベルリンにショールームを構えるマニッシュなデザインが特徴的なBRACHMANNなど、フルコレクションで見たいブランドが多数揃っていた。
ファッションといえば、パリ、ロンドンにばかり目がいってしまうし、好きなブランドも多いのも確かである。しかし、今回初めてこの”Der Berliner Salon”のグループエキシビジョンに参加し、ドイツらしいこだわりの生産背景を持ったハイクラスのブランドや新進気鋭のデザイナーを多数知ることができ、ドイツ発のブランドに関してもっと知りたいと思った。
ベルリン・ファッションウィークは次回は来年の1月開催を予定している。華やかなショーももちろん楽しみの一つだが、出展ブランドに関してもっと事前にリサーチを行い、気になったブランドの取材が出来るように準備しておきたい。
宮沢香奈 セレクトショップのプレス、ブランドのディレクションなどの経験を経て、04年よりインディペンデントなPR事業をスタートさせる。 国内外のブランドプレスとクラブイベントや大型フェス、レーベルなどの音楽PR二本を軸にフリーランスとして奮闘中。 また、フリーライターとして、ファッションや音楽、アートなどカルチャーをメインとした執筆活動を行っている。 カルチャーwebマガジンQeticにて連載コラムを執筆するほか、取材や撮影時のインタビュアー、コーディネーターも担う。 近年では、ベルリンのローカル情報やアムステルダム最大級のダンスミュージックフェスADE2013の現地取材を行うなど、海外へと活動の場を広げている。12年に初めて行ったベルリンに運命的なものを感じ、14 年6月より移住。