前回に引き続き、7月に開催されたベルリン・ファッションウィークの現地レポートをお届けしたい。
今回一番見たかったのが以前より注目しているドイツ発ブランドのODEEH。
2008年にOtto DrogslerとJorg Ehrlichの2人によってスタートし、読み方はオデー(オデイ)。今最も注目されているドイツブランドの一つであるため、これまでに何度かインポートバイヤーの知人にも勧めてきたが特に反応がなく日本ではまだあまり知られていない。
国内のオンラインショップの値段を見てもかなり高額になっているため、認知度がまだ低い現在ではなかなか難しいのかもしれない。
着席型のランウェイショーではなく、プレゼンテーションという形を取った2019 SSコレクションは、元皇太子宮殿である”Crown Prince's Palace”の裏手にある圧巻の広さを誇る庭園を借り切って行われた。カラフルなオリジナルプリントのキャンピングチェアーがズラリと並べられた会場はショーの開始を待ち侘びる華やかな来場者たちで埋まっていった。
かなり待ったところでようやくモデルが登場。庭園を交差しながら会場を囲った観客の前を足早に通過し、最終的にキャンピングチェアーに座り、そこでショーは一旦終了となった。その後は”ご自由に観覧&撮影下さい。”がスタートするというユニークな演出に若干戸惑ったが、15分ほどで終わってしまうショーよりじっくりと、しかも間近で最新コレクションが見れたのは嬉しかった。
ODEEHが得意とするオジリナルのジオメトリック柄は今回も健在で、春夏らしい花柄パターンと鮮やかなビビッドから品のあるミリタリーまで豊富なバリエーションで展開していたメインカラーのグリーンがとても印象的だった。
また、ボリュームのあるブラウスにジオメトリックのセットアップといった独特なレイヤードスタイルが多く見られ、しつこくなりがちな重ね着をネックプロテクション付きの帽子やスポーティーなサンダルを合わせて、程よくアウトドアテイストに落とし込んでいるのが良かった。
フリルをふんだんに取り入れるのもODEEHのデザインの特徴であるが、今回も張りのあるコットン地のブラウスやドレスのフリルやギャザーが大胆で、よりガーリーな印象を受けた。しかし、ガーリーでありながらメンズライクなグラフィックプリントを用いることによって甘さを抑えている点も良い。
ベルリン・ファッションウィークでは主要な人気ブランドであり、来場者もかなり華やかな同ブランドは、ショッピングモールBIKINIからすぐに撤退し、昨年ANDREAS MURKUDISの目の前に路面店をオープンさせたばかり。ファストブランドやモールではなく、有名ブランドの路面店が次々とオープンするこのエリアは新たなトレンド発信地として注目されている。同ブランドの浸透とともに注目していきたい。
宮沢香奈 セレクトショップのプレス、ブランドのディレクションなどの経験を経て、04年よりインディペンデントなPR事業をスタートさせる。 国内外のブランドプレスとクラブイベントや大型フェス、レーベルなどの音楽PR二本を軸にフリーランスとして奮闘中。 また、フリーライターとして、ファッションや音楽、アートなどカルチャーをメインとした執筆活動を行っている。 カルチャーwebマガジンQeticにて連載コラムを執筆するほか、取材や撮影時のインタビュアー、コーディネーターも担う。 近年では、ベルリンのローカル情報やアムステルダム最大級のダンスミュージックフェスADE2013の現地取材を行うなど、海外へと活動の場を広げている。12年に初めて行ったベルリンに運命的なものを感じ、14 年6月より移住。