ベルリンFW➀ 老舗トレードショーPREMIUM(宮沢香奈)

2018/08/13 15:00 更新


PREMIUMオフィシャルFBより

メルセデス・ベンツ主催のもと7月3日~7日の4日間に渡り、ベルリン・ファッションウィークが開催された。

夏のファッションウィークに参加したのは実はかなり久しぶりであるが、今回は可能な限りショー、エキシビジョン、パーティーに足を運び、今のベルリンのファッションシーンやドイツにおけるファッションの可能性を探った。特に印象に残ったブランドを会場ごとに分けて現地レポートをお届けしたい。


まず初日にファッションジャーナリストの友人と共に足を運んだのは、ベルリン最大規模を誇る老舗トレードショーの”PREMIUM”である。例年通り自社ビルを会場に開催された同展は、天候にも恵まれ早い時間にも関わらず、すでにエントランスは行列を成しており会場内も来場者数の増加と共に盛り上がりを見せていった。

同展は約1800のブランドが出展し、来場者数は6万人にも及んだ。その中でも注目したいのは、パリにも拠点を構える老舗国内ブランドZUCCaである。ブランドは担当者が以前よりリサーチしてきたベルリン市場やドイツでの展開を視野に入れた初出展とのこと。

ZUCCa @ PREMIUM

今回のPREMIUM用に厳選された2019 SSコレクションとなっていたが、ZUCCaではアイコンとなり得るバッグシリーズが印象的だった。スポーティーなプラスチックの大きなバックルがポイントとなったデザインでありながら艶感のないマットなレザー調のシリーズとアイボリーやグレーといった抑え目のカラー展開が上品なリサイクルレザーを使用した内容で、どんなテイストのスタイルにも合わせやすそうだった。

他にも気になったのは、デンマーク発のカジュアルブランドSELECTEDのワンランク上のラインとして新たに誕生した”Selected People”である。スカンジナビアブルーを基調としたカラー展開は北欧らしいエレガントさがあり、シンプルなデザインながら美しいシルエットが際立っていた。嫌味のないオリジナルグラフィックもスタイリッシュ。さらには、素材だけに限らず、糸、付属もリサイクル、もしくはリサイクル可能なものを使用している徹底されたサスティナブルブランドであるという点もポイントが高い。

サスティナブルはドイツにも浸透しているが、ファッションに関してはこういった大手メーカーが手掛けるブランドの洗練さからして北欧は一歩先を行っているのだと改めて感じた。

Selected People @ PREMIUM
Selected People @ PREMIUM

自身の年齢なのか、ヨーロッパに定着しているシンプル傾向の影響なのか分からないが、飽きの来ない上質で上品なテイストのブランドを自然と好んでいることに気付いた。シンプルなデザインは素材の良し悪しが見た目ですぐ分かってしまうため、同じ価格帯で似たテイストでもブランドによって全然差があると感じた。自分自身もトレンド重視のファストファッションを着なくなっている傾向にあり、市場的にももうファストの時代は衰退しているのだと改めて感じた。

トレードショー全体は、ドイツ発のブランドももちろん多いが、デンマーク、スウェーデンといった北欧系ブランドは変わらず勢いがあるようで次々と新しいブランドがローンチされていた。現在セレクトショップで人気の高い韓国ブランドの出展にも期待していたが、こちらは意外と少数だった。また次回違った展開を見せてくれるのかもしれない。

PREMIUMオフィシャルFBより

次回は、ドイツ発の注目ブランドODEEHのプレゼンテーションの模様をお届けしたい。お楽しみに!!


宮沢香奈 セレクトショップのプレス、ブランドのディレクションなどの経験を経て、04年よりインディペンデントなPR事業をスタートさせる。 国内外のブランドプレスとクラブイベントや大型フェス、レーベルなどの音楽PR二本を軸にフリーランスとして奮闘中。 また、フリーライターとして、ファッションや音楽、アートなどカルチャーをメインとした執筆活動を行っている。 カルチャーwebマガジンQeticにて連載コラムを執筆するほか、取材や撮影時のインタビュアー、コーディネーターも担う。 近年では、ベルリンのローカル情報やアムステルダム最大級のダンスミュージックフェスADE2013の現地取材を行うなど、海外へと活動の場を広げている。12年に初めて行ったベルリンに運命的なものを感じ、14 年6月より移住。



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