関東私鉄9社の流通、不動産業4~6月業績

2017/08/22 04:24 更新


 関東地区大手私鉄9社の4~6月連結決算によると、流通業は売り場改装や販促・イベントの強化など、各企業とも収益力向上に向けた施策を実施し、衣料品の売り上げ減少は続いているものの食品の健闘などもあって、全体にはやや回復傾向にある。商業施設など不動産賃貸業は新設・改装でおおむね順調に伸びた。

 東京急行電鉄の生活サービス事業はICT・メディア事業の好調から営業収益は1689億6200万円(2・5%増)、営業利益38億5500万円(18・8%増)と健闘した。このうちリテール事業(百貨店、チェーンストア、SC事業など)は、東急百貨店の営業収益が520億円(3・0%減)、営業損益は前年同期の1億円の赤字から、今期は収支トントンに改善した。東急ストアは営業収益530億円(0・9%減)、営業利益6億円(24・0%減)。

 小田急電鉄の流通業は、百貨店業での衣料品売り上げの減少などが影響して営業収益は526億9400万円(4・9%減)。営業利益は百貨店業での費用の減少により13億1800万円(16・7%増)。新宿店の営業収益は229億7200万円(1・6%減)、町田店87億3400万円(2・3%減)、藤沢店31億9100万円(2・2%減)。その他部門を含む百貨店業の営業収益合計は367億4400万円(1・7%減)。ストア業の営業収益は177億5500万円(10・5%減)。不動産業の中の不動産賃貸業の営業収益は101億8900万円(1・5%増)だった。

 東武鉄道の流通業は、東武百貨店が池袋店でニトリを開店したほか催事で集客に努めた。宇都宮店でも前期に大規模改装を行い、新規客の獲得に向けたイベントを実施。流通事業全体では減収増益となった。不動産事業は、スカイツリータウン業の東京ソラマチが開業5周年の販促・イベントで収益増を図った。不動産賃貸業では曳舟駅ビルで初めて駅直結の病院を誘致したほか、駅ビルのエキア曳舟を開業。エキア志木を全面改装オープンするなど「エキア」ブランドの浸透を図っている。

 京王電鉄の流通業は百貨店業、ストア業ともに売り場改装などが実って増収。百貨店業の営業収益は214億8400万円(3・9%増)、ストア業は117億1400万円(2・5%増)。ショッピングセンター事業は30億9900万円(2・9%減)。不動産業で不動産賃貸業は85億3900万円(3・1%増)だった。

 相鉄ホールディングスの流通業は、スーパーマーケット業でそうてつローゼン磯子店をはじめ16店を改装したほか、既存店強化によってスーパーマーケット業の既存店売上高は2・1%増と健闘した。不動産賃貸業では横浜西口のジョイナスをはじめとした商業施設が魅力あるテナント誘致で収益力を高めた。

 京浜急行電鉄の流通業は、京急百貨店で昨年4月に改装したフロアが通年稼働して健闘。京急ストアは無料送迎サービスの対象店舗を広げるなど地域に合わせたサービスを充実。京急ステーションコマースはセブン‐イレブン・ジャパンとの業務提携店舗が順調に推移した。

 京成電鉄の流通業は、百貨店業で新規ブランドの導入と、つくば市内で販売イベントを開催して収益の拡大に努めた。ストア業は各種キャンペーンで集客増を進めた。

 東京地下鉄の流通・広告事業は、エソラ池袋、メトロピアなどで店舗の入れ替えや各種フェアを行い収益を高めた。 

 西武ホールディングスはショッピングセンター事業を行う不動産賃貸事業が、東京ガーデンテラス紀尾井町の全面開業により順調に収益に寄与した。不動産賃貸業の営業収益は97億2900万円(20・5%増)。




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