ジュン佐々木進社長  改めてブランド価値追求

2020/11/07 06:30 更新


 ファッション・アパレル、フード、フィットネスの三つの「F」にフォーカスした「ビジョンFFF(エフエフエフ)」を掲げるジュンは、文化発信を事業の中心に据えながら、コロナ禍を契機とした構造改革を推し進める。

(北川民夫)

業界全体で同時に

 コロナ禍は業界や各企業が抱えていた課題に対する見直しを迫る契機となっている。この機会を生かしながら構造改革を推し進めることが重要だと考えている。〝ウィズコロナ〟の時期を迎えているが、この状態がいつまでも続くものではない。市況はコロナ前に比べて100%戻らないかもしれないが、コロナ禍明けのところで業界、企業がどのような姿になっているかが重要だ。業界の大きな変化に向けては、1企業だけが取り組んで出来るものではない。セールに依拠する販売形態に対する改革は、メーカーだけでなく商業施設も含めて業界全体で同時多発的に行うことが必要だ。

 これまでのファッションビジネス自体がサステイナブル(持続可能)なものではなかった。半年ごとに新しいコンセプトを打ち出し、新しい消費を喚起する手法や、セールを前提とするMDの在り方自体を見直すようなトライアルが必要になっている。現実的にはこれらを全て否定することはできないが、〝新しいビジネスの在り方〟と〝既存の手法〟の相反するものをバランスを取りながら変化させ、業界として発展していかなければならないと考える。 

DXをツールにして

 ジュンはカルチャーを発信するファッション、フード、フィットネスを軸とした事業に対する方針ビジョンFFFに変わりはない。しかし、ここ最近は各ブランドの事業施策が膨張的になり、拡散し過ぎる傾向にあった。当社の独自性であるダイバーシティー(人材の多様性)施策を継続しながら、もう一度ブランドバリューの向上に力を注ぎ、顧客とその価値を共有することで、物販を軸に据えた事業展開を重視する。

 デジタル技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)も推進する。3D・CGを生かした商品企画、物作りを実装し始めた。ロボティック・プロセス・オートメーション導入などのIT化や、自社倉庫におけるロボットを活用した最新物流システムにより、アパレル製品の出荷作業の効率化を図っている。

 しかし、これらテクノロジーはあくまでツールであると考える。付加価値の源泉はカルチャーであり、人が創造するコンテンツであることに変わりはない。

 DtoC(メーカー直販)への取り組みも進めている。この分野では事業のポジショニングが重要。ワンアイテムに絞り込んで徹底的に付加価値を追求することがこのビジネスの要諦だ。

 二次流通においても市場価値が下落しない商品開発に注力する。ここでは作り手のこだわりが必須。「ユーアーカルチャー」を掲げる当社の企業文化のなかで、その物作りへの姿勢をさらに醸成していく。

 今期(20年9月期)の見通しは、当社も厳しい。来期の業績回復に向けた策としては、「仕入れのコントロール」と「収益性への精度」を重視する。仕入れと生産の社内プラットフォームを整備しながら改善していく。

 これからはECでボリュームビジネスを構築しながら、実店舗ではブランドの世界や価値観を訴求し、店舗スタッフによるコミュニケーションを通じた〝体験〟を提供する場にしていく。全社的な売り上げに対するEC化率は現在約28%。今後、ECにおける商品開発や売り方を磨き上げ、2年後には40%に高める計画だ。

ジュン佐々木社長

(繊研新聞本紙20年9月30日付)



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