日本繊維産業連盟(繊産連)は7月11日に常任委員会を開き、「繊維産業の適正取引の推進と生産性・付加価値向上に向けた自主行動計画」の一部改訂などを決定した。12日に開いた記者会見で日覺昭廣会長は「大変な状況だが、繊維産業の貴重な機会と捉えたい。今年後半は特定技能1号への対応と、サステイナビリティーの活動を強化する」と話した。
【関連記事】《繊維を魅力ある産業に、繊産連日覺会長に聞く㊤》人材確保と生産性向上が課題
専門性などを有する外国人が最長5年在留できる特定技能1号に今年4月、繊維業が加わったことについて日覺会長は「繊維業界の悲願を達成したが、外国人が繊維業界を選んでくれる環境を整備しなければ雇用は難しい。さらにDX(デジタルトランスフォーメーション)や企業間連携、産地間連携で生産性を上げていくことが必要」との認識を示した。
特定技能1号の実施に向けて現在、省令改正のパブリックコメント募集が行われており、これが済んだ9月以降に正式に制度がスタートする見通し。繊維業の追加要件として加わった4項目のうち、「特に労働コンプライアンスに関わる項目のハードルが高く、加盟団体からも『中小企業にも対応できる仕組みにしてほしい』との要望が出たが、人権問題は手を抜くわけにはいかない。受け入れを希望する企業は早めに対策をとってほしい。政府には(人権認証の枠組みの一つとなる)JASTI策定を急いでほしいと要望しているが、まずは繊産連がILO(国際労働機関)と策定した『繊維産業における企業行動ガイドライン』に取り組んでほしい」(富吉賢一副会長兼事務総長)と呼びかける。
経済産業省繊維産業小委員会が6月に発表した「中間とりまとめ」でさまざまな目標が設定されたが、委員として討議に参加した富吉副会長は「具体的な目標として特に環境配慮設計と環境配慮情報開示の二つのガイドラインが示された。会員団体と協力しながらこの普及を進めていきたい」と話した。
自主行動計画の改定では、労務費、原材料費、エネルギー費、物流費のコスト増分に対し、全額転嫁を目指すとした。また支払いサイトを短縮し、60日を目指すことと改めた。