非フッ素系撥水剤対応の剥がれにくい熱転写ラベル開発

2019/02/15 06:26 更新


 熱転写ラベルメーカーのジャパンポリマーク(福井市)は、フッ素化合物を含まないフッ素フリー系撥水(はっすい)剤に対応した熱転写ラベル「DWRトランスファー」を開発した。フッ素フリー系撥水剤で表面加工した生地に熱転写ラベルを従来の接着剤で貼り付けると、「剥離(はくり)するリスクが高い」ため、繊維加工薬剤の有力メーカー、日華化学の協力で、ラベルが剥離しない接着剤を開発した。既に世界的なスポーツブランドが19年秋冬のダウンジャケットに採用したという。

 ジャパンポリマークは、日華化学が開発したフッ素フリー系撥水剤「ネオシード」の特性に合わせた接着剤を開発した。両者はネオシードの特徴であるハスの葉のような凹凸構造に着目。接着剤の親水性を向上させるとともに、熱転写した時に接着剤を凹凸構造にしっかり入り込ませ高い接着性を実現した。

 近年、自然環境や人体の安全性に配慮する観点から、アパレル、スポーツ用品業界では世界的に有害化学物質の使用および排出を低減する動きが強まっている。11年に複数のグローバル企業が結成したZDHC(ゼロ・ディスチャージ・オブ・ハザーダス・ケミカルズ)は、有害化学物質の使用・排出を20年までにゼロにすると宣言しており、「今後、人体への影響が懸念されているフッ素系化合物が使えなくなる可能性は高い」(ジャパンポリマーク)と指摘する。

 フッ素フリー系撥水剤の開発は世界的に進み、スポーツ・アウトドアブランドが先行して採用している。ただ、従来の接着剤では熱転写したラベルが剥がれやすいという課題があった。

降雨試験機に「DWRトランスファー」を貼り付け、熱転写ラベルの定着性を試験すると剥離しなかった
日華化学の撥水剤「ネオシード」と、「DWRトランスファー」の接着構造


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