欧米企業が着目、和紙布で蒸れない靴

2016/10/12 06:09 更新


 和紙布の研究・製品開発に取り組むイトイ生活文化研究所(大阪府岸和田市)が、和紙布「マジカルクロス」で靴用途の取り組みを広げている。今年1月の国際スポーツ用品見本市への出展では、グローバルブランドが優れた機能性に着目、国内外の20社近くと試作中だ。

 同素材は、マニラ麻を使った和紙をスリットして撚糸し、ポリエステル糸と交織している。軽量で摩耗強度が高く、特殊な2層構造で肌に接する面は和紙100%となる。均一にスリットする加工や伸縮性のない和紙糸の製織技術には、北陸産地の高度なテクニックが生かされている。140㌢幅で1㍍当たりの価格は2800円程度。

 大きな特徴は、吸水性・速乾性・放湿性に優れること。熱がこもりにくく、「裸足で履いても蒸れない」(糸井徹社長)強みがある。約5年前、同じスリット糸のニットで靴下を商品化、アスリートからは「濡れても蒸れない」と支持され、年間1万足近くが売れるロングセラーとなっている。靴用途では「水分が入ってくると、それ以上の水分量を排出し、防水透湿性素材とは異なる切り口をアプローチできる」という。

 蒸れの解決は、マメなどけがの減少や疲れの抑制につながり、体の健康を促進するという。ただ、これらの効果は天然由来で数値化しにくい面があり、当初は国内のメーカーとの商品開発に至らなかった。そこで、グローバル市場へ目を向けて「スポーツシューズ、靴、フットケアの分野で世界のトップブランドでの採用」を目指して見本市に出展した。

 結果、日本文化を生かした和紙布に対して欧米企業が関心を高め、高機能のアウトドアシューズなど有力企業との協業へと発展した。ラグジュアリーブランドでは、裸足の着用に適応することが評価されて、ドライビングシューズの内張りと中敷きで17年秋冬に向けた製品化が進められている。

磨耗強度は綿キャンバス地の6~8倍という



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