日本でも知られる韓国の繊維産地の大邱市から北に百数十キロの場所にある栄州市。11月には特産物のリンゴの香りが漂う同市の豊基(プンギ)地域はレーヨンの生産で発展し、韓国内で流通するレーヨンの70~80%が豊基産だ。主に韓国内向けに生産、販売しているが、今後は輸出を目指し、まずは日本での販路開拓に注力する。
最高級の「冷蔵庫繊維」
「豊基人絹」(豊基レーヨン)は韓国で最高級のレーヨンとして認知されている。軽く涼しく、通気性や吸汗速乾に優れ、さらりとした肌触りが特徴。「冷蔵庫繊維」「エアコン繊維」と呼ばれている。
歴史は約100年前にさかのぼる。1920年代、朝鮮半島に古くから伝わる預言を受け、北の地域から豊基に移住した人々がいた。シルクを織る職人とその家族で、豊基レーヨンの産地を築いた。移住はしたが、織機はなく蚕もいない環境でシルク産業の継承は難しくなり、代わりにレーヨンの生産が始まった。
