CINEMATIC JOURNEY 1 「桜、花見」(宇佐美浩子)

2016/04/11 11:17 更新


桜の開花も早かった2016年春。新しいスタートをきった方も多いことと思います。

そこで私もちょっとだけ欲張りに、シネマの魅力をみなさまとシェアしたくなり、4月から「CINEMATIC JOURNEY」と名付けてみました。

もちろん拠点はシネマ。

その旅先に広がる楽しみは、ファッション、アート、ミュージック、そしてグルメなど。毎回さまざまなオプショナルツアーをご用意いたします。 

ということで幕開けはやはり季節柄、日本のみならず今や世界の春の代名詞「桜」、そして「お花見」からスタートいたしましょう。

 

 
3・1 Phillip Lim」ブランド創立10周年を記念してデザイナーご本人も来日し、開催されたイベントでは、注目のプラントハンター西畠清順とのコラボによるインスタレーション「桜の雨」がロマンチック。 (3.1 フィリップ リム 青山店にて4月12日まで開催中)

 

さて、すばらしい「お花見コラボ」をシェアした後は、早速CINEMA JOURNEYへ出発✈

先日、10数年ぶりに観賞した懐かしの名作『青いパパイヤの香り』(ベトナム生まれのフランス人監督トラン・アン・ユンの長編デビュー作)。そのノスタルジックでエキゾチックな本作のエンディングを飾った台詞がこちら!

 「…桜の木は凛とたたずむ」

 思うに、桜とヒロインの人生を重ねているような。私が日本女性だからでしょうか?思わず、ピンと背筋を伸ばしたくなった次第。 

ということで早速、新作シネマの話題に。

昨今、公開頻度が高くなっているように思う料理系シネマなのですが、今月末の公開の『ノーマ、世界を変える料理』は、世界が注目するシェフが挑む食というクリエーションの様々な側面にフォーカスを当て、かつまた北欧の自然界の美しさに触れることができる個性豊かな4年間の密着ドキュメンタリー。

 

 
©2015 DOCUMENTREE FILMS LTD

 

冒頭の写真「桜の雨」のクリエイターでもあるプラントハンターのような料理人、レネ・レゼピ。

彼のこだわりは「北欧産の食材のみを用いて、「時間」と『場所』を感じさせる料理」をもてなすこと。よって季節の移り変わりを花や植物、時にはアリまでも食材として用いることは有名な話。

 ❝お皿の上の料理で味わうお花見❞

 そんな感覚ではないのかな~と…(残念ながら未「食」体験のため)

 

 
©2015 DOCUMENTREE FILMS LTD

 

ちなみに彼は北欧料理界のスターシェフという表現にとどまることなく、世界的に認知度の高いランキング「世界のベストレストラン50」にて4度も1位を獲得するなど、その才能に世界が注目している。

何しろ同賞受賞後、年間に用意できる2万席に対し、100万件以上の予約が殺到したというのだから、店舗のあるデンマークを訪れる観光客増加にも多大な影響力を及ぼしたはず。

なおスクリーンにも登場しているが、ノーマの次なるステップとして、コペンハーゲン中心部のクリスティアニア近くの倉庫へと場所を移し「都会の農場」プロジェクトが進行中だそう。きっとまた、来年のオープンに向け、予約が殺到するに違いない!

 

Photo by Pierre Deschamps ©2015 DOCUMENTREE FILMS LTD

 
「お花見ガーデン」@アンダーズ東京

 

お花見気分の料理系シネマつながりで、cinematicなアングルから見て個性派と言える「桜、そしてお花見×食」の話題をいくつかシェアいたします。 

☑2020年の東京オリンピックを控え、徐々にホテルのオープンが続く東京。この街の永遠のシンボル的存在「東京タワー」と、桜の麗しきマッチングをはじめ、肌に心地よい季節の香りを直に満喫できると人気のアンダーズ東京のルーフトップバーにて4月10日まで開催された「お花見ガーデン」。

中でも「お花見ピクニックディナー」は、夜空の美しさと空気感を五感で味わえるのが魅力的。

☑桜の季節に合わせ、プレミアム スパークリングワイン、CHANDON ロゼと楽しむ毎年恒例のイベント「お花見 CHANDON」。

中目黒からスタートした同企画も10年目を迎え、西は福岡から、東京、京都、金沢、名古屋まで日本有数の桜の名所で開催している。ちなみに東京湾から目黒川を巡る2時間クルーズは大好評につき早々に予約が完売したとか。ともあれ各自各様の楽しみ方で、頬もほんのり桜色に染まってみては? 

それではここで再び、のどかな自然の風景に心癒されるイギリスの地方都市を舞台に、ある1組の結婚45周年を迎える夫婦の心理描写が絶妙なシネマ『さざなみ』の話題。

 

 

 

シャーロット・ランプリング。

彼女の名前から受けるインスピレーションと言えば、時折女性誌で目にする若かりし日のスレンダーでマニッシュなスタイルが似合う、ある種ファッション・アイコン的存在の女性では?

もちろんスクリーンに映し出される彼女は、グレーのニットのセーターにスリムなパンツとショートブーツというカジュアル&シックな着こなし、またエンディングのパーティーシーンに見る、something blueとも称したい淡いブルーが印象的なVネックのワンピースをまとう際に発する成熟した女性のオーラ。

70歳という年齢を考えると、理想的なエイジングと言えるのではないかな~などと勝手につぶやいてしまう。

ともあれ彼女がヒロインを演じる本作は、夫に届いた1通の手紙をきっかけに展開する物語。

結婚そして夫婦の愛と絆、男と女の深層心理の差異、そしてこの夫婦の行方に、観る者のココロにもさざなみが生じていくかのような…

 

 
『さざなみ』
4月9日よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開
Ⓒ The Bureau Film Company Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2014

 

「CINEMATIC JOURNEY」初飛行の最後に、少しばかりシャーロット・ランプリングにまつわる話題の続きとして、『幸福な旅人 グローブ・トロッタースタイル』をシェア。

その第二章「幸福を呼ぶセンス」には彼女の魅力がギュッと凝縮され記されているからです。ちなみに本書は、3月31日にその扉を開けた「東急プラザ銀座」、当1階に日本初旗艦店がオープンした英国のラグジュアリーブランド「グローブ・トロッター」監修によるもの。



うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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