2015年の幕が開け、それぞれに叶えたい夢と希望をリストアップしたのではないかなと。そして私も数ある夢の一つである、オイシイお楽しみにチャレンジのシーズンが到来。それは新年を祝うフランスの伝統菓子「ガレット・デ・ロワ」!
諸説ある中、一般的には宗教的イベントの一つであるということを頭の隅に置きつつも、パティスリー好きの私ゆえ、家族や友人たちとみんなでフェーブと呼ばれるフィギアの獲得を巡り、1年の幸運を占う運試し的感覚、またパティシエそれぞれが創り出す味わいのバリエーション…こうした一つ一つにすっかり魅了され、かれこれ数十年は超える新年の必須アイテムとなっている訳でして。
ちなみに今年はお気に入りのピエール・エルメの定番「ガレット オ ザマンド」を購入。新作「ガレット アンフィニマン シトロン」を含め3種類ある中から、ついつい王道を選んでしまいがちで。
なお今年のフェーブはフランス人アーティスト、ファビアン・ベルサールによる3つのアニメチックな「限定」デザインも注目すべき点。で、気になるその勝敗の行方はというと…
なんとラッキーにも、いま私の手元に「妖精」のフェーブとオレンジ色の王冠が!まずは今年初の夢がクリアに。(笑)
勝利した!定番ガレット
さて、前述のフェーブのデザインをしたアーティスト、ファビアン・ベルサール(Fabien Verschaere)は、パリを拠点に水彩画、素描、絵画、陶芸、インスタレーション、アニメなどの技法を駆使し、創作を続ける現代アートの作家。
その作品のテーマは人間の条件の探求だそうで、「度重なる長期入院に苦しむ一人の子供の目を通して見た、ドリームとナイトメアの狭間の世界を表現している」のだとか。
そこで、どことなく似たテイストの新作シネマ「ジミーとジョルジュ 心の欠片(かけら)を探して」(写真下)が脳裏をよぎったので、ここでご紹介を。
本作は監督アルノー・デプレシャンが長年にわたり映画化への夢を温めてきたという、フランスの民族精神医学の権威ジョルジュ・ドゥヴルーによる著書「夢の分析:或る平原インディアンの精神治療記録」に着想を得た、実話に基づくストーリー。ちなみに監督初の全編英語かつアメリカでの撮影となっている。では、その物語とは――
第二次世界大戦からの帰還後、原因不明の病に悩むアメリカ・インディアンのジミー(ベニチオ・デル・トロ)。彼の診断を任されたフランス人の精神分析医ジョルジュ(マチュー・アマルリック)は人類学者でもあることから、対話をするという彼独自の療法でジミーの心の闇の解明へと挑むのだが…
観る者それぞれに残る感動は異なるかもしれないが、人と人が言葉を交わすことの大切さを再認識するのではないだろうか。
そしてもう一つは、昨秋開催された展覧会の紹介記事(シネマ12「ティム・バートンの世界」)にも登場したティム・バートンのアートへの熱き思いが詰まった新作『ビッグ・アイズ』。
本作も前作同様、監督が幼い頃から愛し、影響を受けていたという60年代アメリカで注目を集めたモダンアート「ビッグ・アイズ」シリーズにまつわる真実の物語。
「サインはキーン」と語る夫ウォルター(クリストフ・ヴァルツ)の一言から始まった、内気な妻マーガレット(エイミー・アダムス)のゴースト・ぺインター人生。その愛と苦悩に満ちた結末は、法廷へとつづくのであった。
さて、大きな瞳が見つめる2015年。どんな展開が待ち受けているのだろう?
うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中