「何かに没頭しすぎてしまい、周りが見えなくてなってしまう」。なんていうことは誰しもある。私も似たようなカテゴリーに属するタイプかもしれない。
そんな類ともいえそうな通称「オタク女子」をヒロインに、同類女子が一つ屋根の下(古びたアパート「天水館」)で寝食を共にし、ある時はそれぞれのオタク道に対する思いを分かち合い、またある時は一致団結して館を守るべくユニークなコンセプトのプロジェクトに挑む、そしてほのかな恋心も(!?)…といったオタクすぎるシンデレラ・エンタテインメント「海月姫」。
年末年始向け笑いと感動のシェアシネマ的リストに加えたい1本だ。
イラストレーターを夢見るクラゲオタク女子ことヒロイン「月海(つきみ)」を愉快に好演する能年玲奈が、オタクルックから和服まで、ストーリー展開に伴いさまざまに変貌を遂げるシーンを目にする度に、女子力とファッション&メイク術の相関関係の深さを実感する。
ちなみに、ふんわりドリーミーなドレスのデザインとスタイリングを手掛けたのは、「きゃりーぱみゅぱみゅの衣装デザインで有名な飯嶋久美子」と資料にクレジットされていた。またタッグを組んだのは、若手パタンナーチームなのだそう。さらに「SEKAI NO OWARI」の音楽も相乗効果をアップ!スクリーンで要チェックのほど。
『海月姫』
12月27日より全国公開
©2014『海月姫』製作委員会 ©東村アキコ/講談社
ところで前述の作品で、ヒロインが三つ編み、メガネ、スエットから可憐な着物女子に変身する際、自身の変わりゆく姿をじっと見つめる「ジルスチュアート」の手鏡が印象に残っている。
ココロときめくデザインのそれは、ある年齢以上の女子ならきっと記憶にある、日本の人気アニメのキャラクターを思い出すわけで(笑)。鏡にはきっとミラクルパワーがあるのかも?
そんなジルスチュアートから、女子ゴコロのアイコン的存在、リボンをモチーフにしたメイクアップコレクション「リボンクチュール」が1月9日発売になる。まさしく‟レディかわいい‟コピーそのものだ。
「ジルスチュアート ビューティ」
続いては、かつてパリのデザイン事務所での取材中、「フランス人も結構オタクですよ」と耳にしたことがある。確かに言い得ているような気がする。
というわけで、そんなパリを舞台にした、オタク的資質があるかもしれない(?)ヒロインが登場するシネマ「サンバ」をご紹介。
元キャリアで燃え尽き症候群によるリハビリとして、移民支援協会でボランティア勤務中のシャルロット・ゲンズブール演じるアリスが出会ったのは、強制主要所に送られた在仏10年の陽気なセネガル男性、サンバ。
ある日、苦境に立つ彼の相談に突如、逆切れした彼女。だが、それをきっかけに2人の距離がグッと縮んでいく。そしてさまざまな出会いと人助けを重ねる彼に、どんな未来が待ち受けているのだろう?
主人公のサンバ役は、昨年のヒット作「最強のふたり」のオマール・シー。同じく監督兼脚本はエリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュのコンビ。彼ら二人の願いが叶い実現したというシャルロットの出演は、一方で彼女の新たな一面を引き出すことになったような・・・
うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中