中国ビジネス4つの罠④「資金の罠」(田中宏高)

2016/11/11 11:33 更新


こんにちは。合同会社T&Lコミュニケーションズの田中宏高です。引き続き「4つの罠」について説明します。今日は4つ目の罠、「資金の罠」についてです。

最近、上海や北京など都市部を訪れた方はわかると思いますが、日本より物価が高いです。公共料金は、最低所得レベルの人を基準に設定されているため、まだまだ安いですが、その他は驚くほど高いです。

現在、マンションが普通に1億円以上する中国では、不動産価格が高いためにすべての価格が上がってしまっています。



そこで事務所を借り、人を雇用して事業展開していくのは、日本よりコストがかかって当然です。

ただ、中国に対して「安い」という日系企業の中国進出当時のイメージが残っている方がまだまだ多いです。「安い」と思って出てきたら・・・という「罠」です。中国事業にお金がかかるようになったのは事実ですし、今後は人件費の高騰含めてますますお金がかかるようになります。

 

※写真はイメージです。

 

対策としては、

①最低でも3年程度の資金計画は立てなければなりません。「3年も先の資金計画なんて立てられない」という場合は、立てられる範囲でもいいですから絶対に立ててください。

②コスト管理、コスト削減は本気で取り組んでください。何でもかんでも削っていては結果は出ませんので、無駄なコストを削減する。

 ①②を実行するために必要なのは、「知識」となります。

やっぱり「知識」が重要なのです。

 

※写真はイメージです。

 

あともう一つ対策があります。

③M&Aや資本提携です。これは、「投資」ですから、期待した結果が出ないと失敗です。そういう意味では、短期的には資金繰りの問題が緩和されるのでいいですが、長期的に見ると、成功事例は少ないと思います。

それ以前に、相手先を見つけることが非常に困難です。運よく相手が見つかったとしても、時間がたてばたつほど、ブランドの価値、技術やノウハウの管理、など当初の約束と違ってきてしまうことも多いようです。

さらに、資本提携の場合は、展開していく中で資金の追加が必要になり、資金が潤沢な中国企業の資本比率がどんどん高くなってしまうこともよくあります。

つまり、相手探しが困難な上、うまくいったら「おいしいところはもっていかれ」、失敗すると捨てられる、という可能性が高いと言えます。

 

今日のまとめ

「資金面の心配がある場合、まずは知識を身につけましょう!」




田中宏高 たなかひろたか 合同会社T&Lコミュニケーションズ代表社員。72年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、アパレル商社に在籍。退社後、単身中国にわたり、ローカルの縫製工場で勤務。その後、上海にて百貨店の立ち上げプロジェクトに参画。同時に、販売現場の運営管理を経験。その後、独立。日中のファッションビジネスの経験を生かして、コンサルティングのみならず、中国進出日系企業支援、OEM生産、イベント開催、関連サイト・アプリケーションの立ち上げなど多岐にわたって活動中。著書「ビジネスで中国人に負けない本」(アスペクト社)



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