ハイケム リコーとPLAの共同開発で合意 超臨界二酸化炭素で高分子量化

2022/01/25 11:00 更新


PLA繊維「ハイラクト」の品質向上を狙う

 化学品商社のハイケム(東京、高潮社長)は生分解性のバイオマス樹脂、PLA(ポリ乳酸)の開発に関してリコーと共同することに合意した。リコーが培った超臨界二酸化炭素を用いる重合法を活用し、強度や耐熱性を上げた高分子量PLAの開発を目指す。

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 ハイケムは中国最大のPLAメーカー、豊原集団と事業戦略パートナーシップ契約を締結、改質剤を加えて染色性や耐久性を高め、成形品用途などに販売している。昨年12月にはPLA繊維ブランド「ハイラクト」を立ち上げ、アパレル用途への本格展開を始めた。

 一方、リコーは環境経営を推進し、複合機の部材にPLAを原料にしたバイオマスプラスチックを採用してきたほか、独自技術でPLAを発泡させたシート「PLAiR」(プレアー)を開発・販売している。

 またリコーは超臨界二酸化炭素の技術をPLAの重合反応に応用し、分子量を高めたPLAペレットの生成に成功しており、今回の共同開発を通じてこれを用いた高分子量PLAの量産化を目指す。PLAは成形加工が難しいため改質剤や他の樹脂を加えるケースが多く、これによるコスト増や生分解性が損なわれる点が課題となっている。高分子量PLAはこれらが不要で、PLAの利点を損なわず、素材の高強度化ができる。

 共同開発プロジェクトはハイケムの東京研究所(千葉県柏市)とリコーの沼津事業所(静岡県沼津市)、リコーテクノロジーセンター(神奈川県海老名市)で実施する。量産技術確立を目指して発泡PLAシートのプレアーやPLA繊維のハイラクトの品質向上につなげるほか、耐熱性を上げた工業用のエンジニアリングプラスチック向けも開発する。この高分子量化技術を他の生分解性樹脂にも展開していく構え。

高分子量化で添加剤なしで強度アップが可能


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